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企業サイトのKPIは何にする?事業目標から考える指標の決め方

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企業サイトのKPIは何にする?事業目標から考える指標の決め方

毎月、アクセス数や問い合わせ数をまとめて会議で報告している。けれど、報告を聞くだけで行動につながらない。そんな状態になっていないでしょうか。

数字が増えた月は「よかったですね」で終わり、減った月は理由を探して終わる。これを繰り返しても、サイトは何も変わりません。見直したいのは、どの数字を見て、誰が何を決めるかです。

KPIは、測れる数字の中から選ぶのではなく、「この数字が変わったら、誰が何を決めるのか」から選びます。事業の目標からサイトの役割を決めれば、見る数字も、数え方も、報告の仕方も決まってきます。

判断したいことから指標を決める。1. 事業の目標、2. サイトの役割、3. 確認する行動、4. 数え方の定義。

KGI・KPI・KSFを、サイトに当てはめる

指標の話では、似た3つの言葉が出てきます。KGIは、最終的な目標をどこまで達成できたかを確かめる指標です。KPIは、そこへ向かって順調に進んでいるかを確かめる数字です。KSFは、成果を出すために欠かせないと考える条件を指します。企業サイトに当てはめると、たとえば次のようになります。

  • KGI(重要目標達成指標):法人向けサービスの受注件数
  • KSF(重要成功要因):対象の企業がサイトでサービスの内容を理解し、気軽に相談できること
  • KPI(重要業績評価指標):サイトから届いた新しい相談の件数と、そのうち商談に進んだ件数

受注が決まるかどうかには、営業の対応や価格の条件も関わります。受注の数をすべてサイトの成績にしてしまうと、数字が上がっても下がっても、サイトの何を直せばよいかが分かりません。

サービスのページが読まれたか、フォームが送信されたかは、アクセス解析で分かります。その相談が対応できる内容だったか、商談に進んだか、受注したかは、営業や受付の記録を見て分かります。サイトの記録と営業の記録をどこまでつなげて見るかを、指標を決める段階で決めておきます。

企業サイトには、問い合わせを集めるほかに、採用の応募を集める、今のお客さまに手続きを案内する、営業が商談で見せる資料になる、といった役割もあります。ページごとに役割を分け、今いちばん大事な目的を決めれば、見る数字も絞れます。

KSFは、確かめる前の仮説として扱う

KSFとして置いた「実績のページを見れば、相談が増えるはずだ」という条件も、自社のサイトで確かめるまでは仮説です。実績のページが本当に依頼先を比べる材料として読まれているか、営業が商談で案内しているかを見ていきます。

仮説として置くと、手を打ったあとに見る場所がはっきりします。サービスで対応する範囲の説明を書き足したなら、見るべきなのは閲覧数ではなく、対応できない内容の相談が減ったか、営業が商談で毎回補足していた質問が減ったかです。

判断したいことから、指標を選ぶ

指標の候補は、判断したいことの数だけ出てきます。

判断したいこと指標の候補確認するポイント
必要な人に届いているか関連ページへの訪問どこから来たか、何を検索して来たか
相談につながっているか問い合わせの受付件数対応できる内容か、重複していないか
営業につながっているか商談になった件数問い合わせの内容とその後の経過
更新を続けられているか更新にかかる工程と時間承認待ちなど、止まっている理由

候補をすべてKPIにする必要はありません。その数字が変わったときに、誰が何を決めるのかが思い浮かばないなら、それは報告のためだけの数字です。

中心に見るKPIは1つか2つに絞り、その数字が動いたときに原因を調べる情報を別に決めておきます。問い合わせの受付件数を中心にするなら、関連ページへの訪問、どこから来たか、問い合わせの内容が、原因を探る情報です。こちらには目標の数字を付けなくて構いません。

数字を追いかけたときの副作用も見る

フォームの入力欄を減らせば、送信はしやすくなります。その代わり、商談してみてから予算が全然合わないといった場合も起こります。送信件数だけで判断せず、対応できる相談か、商談に進めたか、担当者の手間がどう変わったかもあわせて見ます。

サービスの対象をはっきり書いた結果、問い合わせの数は減ったけれど、商談に進む割合は上がった、ということもあります。件数と、その中身を確かめる情報は、セットで見ます。

何を1件と数えるか、先に決める

フォームの送信ボタンが押された数、受付が完了した数、営業が対応した相談の数。この3つの数は、ずれることがよくあります。テスト送信、営業の売り込み、同じ人からの重複した送信をどう扱うかも含めて、何を1件と数えるかを決めます。

GA4の拡張計測機能には、フォームの送信を記録する仕組みがありますが、これは「ユーザーがフォームを送信したとき」のもので、問い合わせが担当者に届いたことや、その中身までは分かりません。受付の記録と並べて、どこがずれるのかをつかんでおきます。

出典:Google アナリティクス ヘルプ「拡張計測機能イベント」

受付件数とアクセス解析の件数が合っているかを確かめる手順は、ホームページから問い合わせが来ないとき、何から確認すればよいかで説明しています。

「問い合わせ件数」という名前だけでは、売り込みや今のお客さまからの連絡まで含むのかが分かりません。指標ごとに、何を数えるか、何を除くか、どこから数字を取るか、いつからいつまでを数えるか、誰が見るかを書き残します。新しい相談の件数なら、たとえば次のような表です。

項目記入する内容
指標の目的新しい相談がどのくらい始まっているかを見る
数えるもの対象のサービスへの新しい相談として扱う条件
除くものテスト、重複、売り込みの連絡など
数字の取り方受付の記録と、必要に応じて担当者が付けた分類
確認の時期集計する期間と、その後の経過を見直す時期
次の判断件数が減ったとき、対象外の相談が増えたときに調べること

問い合わせを受けた日と、商談になった日はずれます。10月に受注した案件は、7月に受けた問い合わせかもしれません。割合を出すなら、問い合わせを受けた月ごとに、その案件がどうなったかを追います。

電話や紹介、営業担当者を通じた相談は、サイトの計測に表れません。把握したいなら、受付や商談のときに「何を見て連絡したか」を聞いて記録します。

目標の数字を決める前に、今の数字を測る

目標を具体的にするときは、SMARTという考え方が使えます。目標を次の5点で確かめます。

観点確かめることサイトの目標での例
Specific(具体的か)何を増やすのかが1つに決まっているか「問い合わせ」ではなく「対象サービスへの新しい相談」
Measurable(測れるか)数え方と、数字を取る場所が決まっているか受付の記録で、テストや売り込みを除いて数える
Achievable(達成できそうか)今の数字と、打つ手から見て届くか今の月平均と、直すページの数から考える
Relevant(事業の目標につながるか)増えたときに、受注に近づくか対象外の相談が増えるだけの目標にしない
Time-bound(期限があるか)いつまでに、いつ見直すかが決まっているか半年後に達成、3ヶ月目に途中で見直す

今の数字が分からないなら、まず数え方をそろえて記録を始め、ふだんの件数や月ごとのばらつきをつかみます。目標を決めるときは、事業として必要な件数と、それを実現するために何を変えるかを分けて考えます。サイトに来る人を増やすのか、説明を直すのか、営業の対応を変えるのか。希望の数字を書くだけでは、計画になりません。

件数が少ないうちは、割合と実際の数を並べて報告します。問い合わせが月1件から2件になれば増加率は100%ですが、実際に増えたのは1件です。

報告では、数字のあとに「次に何をするか」を書く

毎月の報告に入れたいのは、中心に見る数字、何と比べたか、確かめられたこと、考えられる理由、次にすることです。理由がまだ分からないなら、どうやって確かめるかを書きます。「数字が下がったので改善します」では、何を変えるのかが誰にも分かりません。

報告の数字を見て、次に行うことをチェックリストに書き込む様子

問い合わせが減った月なら、次のように切り分けます。関連ページへの訪問も減っていれば、サイトに来る人が減っています。訪問は変わらず送信だけが減っていれば、ページの説明かフォームを疑います。計測の設定や受付の数え方を変えていれば、それも理由の候補です。こうして、次に調べる場所を絞ります。

毎月報告していても、誰も何かを決めるのに使っていない数字は、会議で見る数字から外し、必要なときに調べる側へ回します。

まとめ|数字からではなく、決めたいことから選ぶ

企業サイトのKPIは、測れる数字の一覧から選ぶものではありません。事業の目標からサイトの役割を決め、その役割を果たせているかを判断できる数字を選びます。

サイトに担ってほしい役割を1文で書き出し、それを確かめる数字を1つか2つに絞るところから始めてください。次に、何を1件と数えるか、誰がいつ見るかを決めます。毎月の報告では、数字の増減に加えて、何を調べ、どこを直すかまで話し合いましょう。

自社のサイトで何を測るか、整理したい方へ

事業の目標とサイトの役割から、確認する指標と改善の進め方を一緒に考えます。

中村 和正

この記事を書いた人

中村 和正

株式会社gracenote 代表取締役 / 一般社団法人日本Web協会 会長

Web制作・ディレクション・マーケティングの実務を経て、2018年に株式会社gracenoteを設立。Webサイトの設計・改善支援と、Webディレクターの人材育成に携わっています。著書に『「買わせる」の心理学』。

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