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Web制作の見積もりが会社ごとに違うのはなぜ?金額の前に比べたいこと

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Web制作の見積もりが会社ごとに違うのはなぜ?金額の前に比べたいこと

同じ10ページの会社サイトを3社に頼んだら、見積もりの金額がばらばらだった。高い会社は何に費用をかけ、安い会社は何を省いているのか。見積書を並べても、その違いが読み取れないことは珍しくありません。

金額差の多くは、各社が想定した作業の範囲と、発注者側に残る作業の違いから生まれます。原稿を誰が書くのか、既存の情報を誰が移すのか、公開後の不具合に誰が対応するのか。この前提を揃えてから比べれば、差額が何に対する費用なのかを説明できるようになります。

見積もりを同じ前提で比べる。1. 制作の範囲、2. 社内の作業、3. 公開後の費用。

ページ数が同じでも、作業の量は揃わない

「10ページの会社サイト」という依頼でも、原稿と写真を企業が支給する場合と、制作会社が取材から行う場合では、作業の量がまったく違います。既存ページをそのまま移すのか、サービスの分類から見直すのかでも変わります。

例えば、A社の見積もりは取材と原稿整理を含み、B社は完成原稿の支給が前提だとします。B社が安いのは当然で、その代わり原稿を書く仕事は社内に残ります。B社を選ぶなら、誰がいつまでに書くのかまで決めなければなりません。差額は、社内で引き受ける作業の値段として読めます。

各社に伝えた条件がずれていないか

比べる前に、各社へ伝えた内容を振り返ってください。ある会社には「デザインを新しくしたい」、別の会社には「問い合わせを増やしたい」と伝えていれば、提案の範囲が違うのは自然なことです。打ち合わせで後から追加した条件があれば、他の会社にも同じ情報を渡します。

渡す資料は、完成した仕様書でなくて構いません。現状で困っていること、サイトに期待する役割、公開時期の事情、予算の目安、社内で用意できる素材を1つにまとめます。決まっていない事項は「未定」と書き、提案してほしい範囲として示すほうが、ページ数だけを決めて渡すより意図が伝わります。

揃えたいのは、数量より役割です。採用強化が目的なら、募集要項を更新するだけで足りるのか、応募者に仕事の実態を伝える取材まで必要なのかで提案は変わります。記事数だけを合わせても、取材・撮影・原稿確認の範囲が違えば、同じ条件の比較にはなりません。

作業の範囲が同じでも、単価が違えば金額は変わる

サイトの見積もりは、基本的に「工数×単価」で決まります。作業の範囲を揃えても金額が違うなら、単価の差かもしれません。

単価は制作会社によって違います。基本的に、単価の高い制作者のほうがスキルは高いです。どこまでのレベルを求めるかは、サイトに期待する役割によって変わります。自社が求めるレベルと費用対効果で検討しましょう。

そのためにも、まずは作業の範囲を揃え、単価の差が見える状態にしておきます。

共通の確認表を作り、各社に同じ質問をする

条件を揃えたら、各社の見積もりを同じ項目で読み直します。項目ごとに「誰が、何を、どこまで」行うのかを尋ねる表を用意しておくと、比較がぶれません。

比較する項目確認する質問
企画・情報整理構成を誰が考え、何をもとに決めますか
原稿・写真支給と制作の分担はどうなりますか
CMSどの情報を、どの方法で自社更新できますか
データ移行対象件数と、修正が必要なデータの扱いはどうなりますか
確認・修正確認段階と、追加費用が生じる変更を教えてください
公開後不具合対応と、追加改修・保守の違いは何ですか

見積書に書かれていない作業は、抜けているとは限りません。別の項目に含まれている場合もあれば、要件を整理した後に費用を決める場合もあります。分からない項目は「含まれていない」と決めつけず、どの項目に含まれるかを質問します。 回答は口頭で済ませず、メールや提案書など、後から双方が確かめられる形で残しておきます。

「含む・含まない・未定」の3つに分けて記録する

比較表には、有無だけでなく条件と未確定事項の欄を設けます。「原稿作成を含む」と書かれていても、支給資料を整えるのか、担当者に取材して新しく書くのかで中身は違います。「撮影あり」なら、撮影場所や対象、写真の選定や補正をどこまで含むかが判断材料です。

未定の費用は、0円として合計しないこと。「現段階では比較できない費用」として別に残し、どの条件が決まれば金額が確定するのかを尋ねます。合計額だけを並べると、一番安く見える案が、実は未定の費用を一番多く抱えていたということも起こり得ます。

各社の項目名を無理に統一する必要はありません。進め方が違えば、作業の分け方も変わります。自社の確認表と相手の見積項目を対応させ、必要な成果物がどこに含まれているか確かめられれば十分です。

比べる前の段階で曖昧になりやすい条件は、次のように言い換えて確認します。

比較前の曖昧な条件確認後に残す条件
原稿は自社で用意できそう元資料は自社が提供し、構成と文章化を誰が担当するか
写真は既存のものを使う利用可能な画像を誰が選び、不足をいつ判断するか
更新できるサイトにする自社で追加する情報と、公開前確認の範囲
公開後も相談できる月額内の対応と、別途見積もりになる作業

「一式」と「修正2回まで」は、何をいつ確定するかで読む

「制作一式」と書かれていても、作業時間の内訳を細かく出してもらう必要はありません。聞きたいのは、成果物、役割分担、確認の段階、対象外の作業です。単価とあわせて、どんな状態まで仕上げる約束なのかを確かめると、発注の判断に役立ちます。

修正回数も、数字だけでは比べられません。デザイン確認のときに合意した配色を変えるのと、実装後にサービスの分類を組み替えるのとでは、影響する作業が違います。後者は見出し、ページ構成、URL、原稿にまで及ぶことがあります。「修正2回まで」という条件だけでは、どこまで見直せるのか判断できないわけです。

確認したいのは、構成、原稿、デザイン、公開前確認の各段階で、誰が何を承認するかです。社内の決裁者が最後に初めて画面を見る進め方だと、合意済みの前提がそこで覆るおそれがあります。無制限の修正を求めるより、社内の判断が必要な時点を工程に組み込むほうが、追加作業を予測しやすくなります。

確認の担当も分けておきます。パソコンとスマートフォンでの表示、フォーム送信後の処理、原稿の事実確認では、確かめる人も方法も違います。制作会社が検証することと自社が確認することを見積もりの段階で分けておけば、双方が「相手が見ているはず」と考える抜けを減らせます。

初期費用に、社内の作業と公開後の費用を足して比べる

制作費の比較と並行して、公開までに社内で引き受ける作業を書き出します。原稿、写真、掲載許可、既存データの整理、各部署の承認などです。金額に換算しにくくても、担当者と必要な時期を書き込めば、その案が社内の体制で実行できるかを検討できます。

原稿を社内で書ける体制があるなら、支給を前提にした安い提案は十分に選択肢になります。一方、各部署から情報を集める段階でいつも止まっているなら、話は別です。取材や整理を任せる費用を含めて比べたほうが、実際の負担に近づきます。

月額費用は、金額と対応内容をセットで見る

公開後の費用には、サーバーなどの利用料、ソフトウェアの利用料、保守、更新代行、改善支援などがあります。同じ「保守」という名前でも、含まれる対応は会社や契約によって異なります。更新作業、障害時の連絡、バックアップからの復旧など、何が月額に含まれ、何が別料金なのかを確認してください。

一定期間の費用で比べるなら、各案で同じ期間を使い、初期費用・固定費・想定する追加作業を分けて並べます。起きるか分からない改修費まで、根拠のない金額で埋める必要はありません。それより、利用料の更新時期、契約終了時のデータの受け渡し、他社へ移る場合の条件を確かめておくほうが、継続して使えるかの判断材料になります。

更新の仕組みにも、費用の偏りが出ます。誰も更新できない構成で初期費用を抑えると、小さな変更のたびに外部への依頼が必要になります。逆に、ほとんど更新しない情報まで複雑な管理画面にすると、初期の設計と操作確認の負担が増えます。更新する人が扱う情報と頻度から、必要な仕組みを決めましょう。

予算を超えたら、値引きより範囲の組み替えを相談する

予算を超えた見積もりには、一律の値引きを頼む前に、初回の公開で必要なものを分けて考えます。主力サービスの説明と問い合わせの流れを先に整え、更新頻度の低い情報は後から追加する、といった段階分けです。

ただし、削る作業の名前だけで判断するのは危険です。計測の設定や更新の設計を外した結果、公開後に効果を確かめられない、自社で直せないといった困りごとが残る場合があります。削ったときに何ができなくなるのかを、制作会社に説明してもらってください。

後回しにする項目には、見直す条件を決めておく

初回の公開から外した機能は、いつ検討し直すかも決めておきます。例えば実績の絞り込み機能を見送るなら、「件数が増えて、一覧から探しにくくなった時点で検討する」と決めておけば、必要性を確かめてから投資できます。

一方、後から足すと構造から作り直しになりかねない項目は、早めの共有が必要です。会員ごとの情報表示、多言語展開、別システムとのデータ連携などがこれに当たります。初回からすべて作るかどうかとは別に、今の設計でどこまで備えておくかを判断してもらいます。

選んだ理由を、差額と残るリスクで説明する

社内に比較結果を出すとき、最安値の会社に印を付けるだけでは判断材料が足りません。推す案について、目的に必要な範囲を満たすか、自社の体制で進められるか、未確定の費用や条件は何かを書きます。高いほうの案を選ぶなら、差額でどの作業を任せられるのかを示せば、選んだ理由として通ります。

質問への答え方も、判断材料になります。対応範囲を具体的に説明できるか。難しい条件を曖昧にせず代案を出すか。追加費用が生じるときの判断手順を示せるか。どれも、制作が始まってから相談する場面での対応を予想する手がかりです。提案時の担当者と制作の担当者が違う場合は、実際の連絡体制も確認しておきます。

最後まで残った不明点は、契約後に解決する前提にせず、発注の条件として整理します。未定のまま進める項目なら、いつまでに誰が決め、費用をどう決めるかを合意できるか確かめてください。質問しても必要な説明が得られない場合は、価格の魅力だけで決めず、依頼の範囲から見直すという判断もあります。

まとめ|同じ前提に揃えれば、差額の意味が分かる

Web制作の見積もりの差は、多くの場合、作業の範囲と社内に残る負担の差です。比べる前に、各社へ伝えた条件を揃えてください。そのうえで確認したいのは、次の3点です。

  • 原稿・写真・移行・確認のうち、制作会社が担う作業と社内に残る作業
  • 「含む・含まない・未定」の区分と、未定の費用が決まる条件
  • 公開後の月額に含まれる対応と、別料金になる作業

まずは手元の見積もりを共通の確認表に書き写し、分からない項目を各社に質問するところから始めましょう。

金額の前に、依頼する範囲を整理したい方へ

何をどこまで依頼すればよいのか、社内で何を引き受けられるのか。目的や社内で対応できることを伺い、必要な作業と役割分担を検討します。

中村 和正

この記事を書いた人

中村 和正

株式会社gracenote 代表取締役 / 一般社団法人日本Web協会 会長

Web制作・ディレクション・マーケティングの実務を経て、2018年に株式会社gracenoteを設立。Webサイトの設計・改善支援と、Webディレクターの人材育成に携わっています。著書に『「買わせる」の心理学』。

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