制作会社から工程表が届くと、公開日までの線が引かれていて、ひとまず安心します。ところが、よく見ると「原稿ご提出」「デザインご確認」「最終承認」といった行があります。この行の日数を使うのは、制作会社ではなく発注者です。
制作会社の作業が予定どおりに進んでも、原稿がそろわない、承認する人がつかまらない、という理由で公開は止まります。公開日を守れるかどうかは、制作会社の作業日数だけでは決まりません。
発注者が確保しておきたい時間は、大きく3つあります。原稿や写真などの材料をそろえる時間、届いたものを確認して返す時間、そして公開日の前後に動作や内容を確かめる時間です。どれも制作会社の側からは見えないので、自社で予定に入れておく必要があります。

工程表のなかから、自社の番になっている日を探す
工程表は、前の工程が終わらないと次へ進めない順番で並んでいます。構成が決まらなければデザインに入れず、原稿が届かなければページを組めません。発注者の番で止まれば、それ以降の作業がまとめて後ろへずれます。
ですから、工程表を受け取ったら、日数の割り振りより先に、自社が何かを渡したり決めたりする日に印を付けてください。制作会社の作業の横に、自社の作業と、そのために押さえておく予定を書き足すと、次のような形になります。かかる日数は案件によって大きく違うため、ここでは入れていません。
| 工程 | 制作会社の主な作業 | 発注者の作業 | 押さえておく予定 |
|---|---|---|---|
| 要件の整理 | 目的と範囲の整理 | 公開日の理由と優先順位を伝える | 優先順位を決める人との打ち合わせ |
| 構成 | 掲載する情報と順序の案 | 必要な情報がそろうか確認 | 事業責任者の確認日 |
| 原稿・素材 | 原稿の整理・作成 | 元情報の提供、写真・実績の掲載許可 | 各部署の提出期限、許可の回答期限 |
| デザイン | 主要ページの画面作成 | 意図どおり伝わるかを確認 | 社内の意見の締め切りと返答日 |
| 実装 | 更新機能・フォームの構築 | 更新担当者の操作確認 | 操作説明を受ける日 |
| 公開前後 | 表示・動作の確認、不具合の対応 | 内容の最終確認と承認、受信の確認 | 承認者の確認日、公開日当日の担当と代理 |
事業責任者の出張、会社の休業日、撮影したい現場の繁忙期など、社内でしか分からない予定も、このとき制作会社に伝えます。制作会社は、その情報がなければ待ち時間を見込めません。
材料をそろえる時間は、書く時間より待つ時間で決まる
原稿づくりで時間を取られるのは、書く作業そのものより、その前後です。料金や提供条件が社内でまだ決まっていない、お客さまに実績の掲載許可を取っている、撮影の日程が先方の都合で決まらない。どれも、担当者が急いでも縮められない時間です。
工程表に「資料をそろえる」と1行だけ書くと、この待ち時間が見えなくなります。材料ごとに、今どの状態で、次に何が決まれば進むのかを書いておけば、遅れそうなものが早く分かります。
| 材料 | 今の状態 | 次に決めること |
|---|---|---|
| サービス原稿 | 元資料はあるが、提供条件を確認中 | 責任者が条件を確定する日 |
| 実績 | 候補の案件を選んだ | 掲載許可を頼む担当と、断られたときの代わり |
| 写真 | 使える写真が一部足りない | 追加で撮影するか、別の素材にするかを決める日 |
許可や回答を待つものには、期限と代わりの案をセットで決めておきます。「この日までに返事がなければ、別の実績を載せる」と決めておけば、返事を待ち続けて全体が止まることはありません。
写真は、ファイルを送った時点で準備完了とは言えません。横長の枠に使いたいのに縦長の写真しかない、お客さまの許可が必要な写真しかない、となれば選び直しや撮影の時間が要ります。用途に合うか、載せてよいかまで確かめて、初めて渡せる状態です。
ありかの分からない資料も、探す時間を見込みます。ロゴのデータ、過去の原稿、ドメインの管理窓口などは、当時の担当者が異動や退職をしていると、知っている人を探すところから始まります。公開の直前になってドメインの管理窓口が分からなければ、新しいサイトへ切り替える段取りが組めません。
原稿は、1ページ分を先に仕上げる
全ページの原稿がそろうのを待ってから制作会社に渡すと、足りない情報が最後にまとめて見つかります。代表的なサービスか実績を1件分だけ先に仕上げてみると、1ページに必要な情報の量や写真の種類が分かり、残りのページの準備が具体的になります。
残りのページは、仮の原稿で先に進めることもできます。その場合は、見出し、価格、サービスの区分など、あとで変わるとページの構成に響く箇所を制作会社に伝えておきます。仮の原稿が、承認済みのものとして扱われないようにするためです。
確認して返す時間は、承認者の予定から先に押さえる
見落としやすいのが、届いたものを確認して返す時間です。制作会社が金曜日にデザインを送ってきても、月曜日になってから見てくれる人を探すなら、その週末の分も工程の一部です。確認のための予定を空けておくことも、発注者の作業です。
なかでも、最終的に承認する人の予定は先に押さえたいところです。事業責任者や経営者が完成間際の画面だけを見て、「そもそも方向が違う」と言えば、構成からやり直しになります。構成とデザインの段階で見てもらう日を、工程表が届いた時点で確保しておきます。すべての打ち合わせに出てもらう必要はなく、あとで覆ると影響の大きい判断にだけ、確実に関わってもらえば足ります。
社内の意見を集める時間も、別に取ります。届いた意見を順番にそのまま制作会社へ送ると、「ロゴを大きく」と「ロゴを控えめに」のように、前後で食い違う指示が混ざります。社内で意見を集める締め切りと、制作会社へ返す締め切りを分けて置けば、その間に窓口担当者が意見を整理できます。判断が割れたところは、割れている理由ごと制作会社に相談すると先へ進めます。
確認の往復を少なくするには、段階ごとに見るものを絞ります。構成の段階では、載せる情報と順番、各ページの役割を決めます。デザインの段階では、その情報が意図どおりに伝わるかを見ます。公開の直前は、内容の正しさと動作の確認です。デザインを見る段階で事業の方針から議論を始めると、確認の時間がいくらあっても足りません。
公開日の前後に、確認する人の1日を空けておく
公開の作業を制作会社が行っても、問い合わせのメールが自社に届くか、載っている料金や連絡先が正しいかは、自社でしか確かめられません。公開日に確認する担当者が休みだった、ということがないように、担当者と、その人が不在のときの代わりを決めておきます。
広告や告知を同じ日に始めるなら、何を確かめたら告知を出すのか、問題が見つかったら誰が止めるのかも、関係者でそろえておきます。
公開後しばらくは、社内から修正の依頼が集まります。すぐ直すものと、次の改善に回すものを分ける時間も見込んでおきます。工程表の終わりは公開日ではなく、ふだんの運用に引き継いだところです。
時間が足りないと分かったら、範囲と日付のどちらを動かすか
どれだけ準備しても、材料や確認が予定に間に合わないことはあります。そのとき、提出期限を過ぎてから「少し遅れます」と連絡するより、間に合わない見込みが分かった時点で相談するほうが、打てる手は多く残ります。何を、いつまでに、どの状態で渡せるかを伝えれば、制作会社は作業の順番を入れ替えられます。
選べるのは、公開する範囲を減らす、公開日を動かす、原稿の整理などを外部に追加で頼む、といった方法です。どれを選ぶかは、公開日の理由が判断材料になります。「できれば年度内に」という希望日なら日付を動かせますが、展示会やサービス開始に合わせた期限なら、動かせるのは範囲のほうです。日付を伝えるときに理由も伝えておけば、制作会社も選択肢を出しやすくなります。
部署ごとに違う期限を抱えていることもあります。営業は展示会に、採用は募集の開始に、広報は発表の日に合わせたい。すべてを同時に満たせないとき、どれを優先するかを決めるのは制作会社ではなく自社です。その判断をする人を、最初の打ち合わせの時点で決めておきます。
範囲を減らすなら、期限の日に何を伝えなければならないかを基準にします。展示会で新サービスを案内するなら、対象のお客さま、提供内容、相談の窓口を先に公開し、掲載許可を待っている実績はあとから足す、という分け方ができます。

範囲を減らしても、省いてはいけない確認があります。公開する部分の情報が正しいこと、問い合わせが届くこと、更新や管理ができること。「仮の公開だから」と、誤った料金や送信できないフォームを残すのは本末転倒です。あと回しにしたページには、担当と、何がそろったら公開するかを書いておけば、最初の公開のあとに忘れられずに済みます。
まとめ|自社の準備と確認の時間も、工程表に入れる
公開日を守れるかどうかは、制作会社の作業日数だけでなく、発注者が材料をそろえ、確認して返し、公開の前後に確かめる時間で決まります。
- 材料は、書く時間より待つ時間を見込み、許可や回答には期限と代わりの案を決める。
- 承認者の確認日は、工程表が届いた時点で構成とデザインの段階に押さえる。
- 時間が足りなくなったら、公開日の理由をもとに、範囲と日付のどちらを動かすかを早めに相談する。
制作会社から工程表が届いたら、自社の番になっている行に印を付け、その横に担当者と承認者の予定を書き込んでください。
公開時期と制作範囲を、一緒に整理します
希望する公開時期と、原稿や素材の準備状況をお聞かせください。進行や公開範囲を検討します。
