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LP制作を依頼する前に整理したい、顧客・価値・根拠・行動

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LP制作を依頼する前に整理したい、顧客・価値・根拠・行動

LPの制作を頼むとき、参考にしたいサイトのURLを3つほど送って「こんな雰囲気で」と伝える。手軽な頼み方ですが、これだとただ見た目が刷新されただけのLPが納品され、成果につながらない可能性があります。

広告やメールからLPに来た人は、上から順に、4つの疑問を抱きながらスクロールしていきます。

  1. 自分のための話か。
  2. 使うと、何が変わるのか。
  3. その話を信じてよいのか。
  4. 次に何をすればよいのか。

どこかで答えが見つからなければ、その人はそこで読むのをやめます。この4つに答える材料が、顧客・価値・根拠・行動です。そして材料のほとんどは、制作会社ではなく、商談や問い合わせでお客さまと話してきた依頼主の手元にあります。LPの構成を決めるのは参考デザインではなく、依頼主が渡すこの4つの情報です。

LPの読者が上から順に抱く「自分のための話か」「何が変わるのか」「信じてよいのか」「次に何をすればよいのか」の4つの疑問と、それぞれに答えるために依頼主が渡す顧客・価値・根拠・行動の情報を対応させた図。

顧客:誰が、どんな場面で困って来るのかを書く

「30〜50代の経営者」のような属性だけでは、LPの冒頭に何を書けばよいかが決まりません。制作会社に渡したいのは、どんな場面で困っていて、すでに何を試し、何と比べて検討しているかです。

同じ商品でも、読む人がどこまで検討を進めているかで、最初に書くことは変わります。別の方法を試してうまくいかなかった人には、その方法との違いを早めに見せます。課題に気づき始めたばかりの人には、課題そのものの説明から入るほうが読みやすくなります。営業の場で「前に別の会社に頼んだけれど、続かなかった」と聞くことが多いなら、それがそのまま冒頭の材料になります。

入口の広告や案内文も一緒に渡す

LPの読者は、広告、検索結果、営業メール、紹介の案内など、何かを見てからやって来ます。その入口で読んだ言葉が、「自分のための話か」を判断する手がかりになります。

広告で「請求書の作成にかかる時間を半分に」とうたっているのに、LPが会社の紹介から始まったらどうなるでしょうか。読者は、広告で見た話がどこに書いてあるのかを探し直すことになります。入口で示した困りごとに最初に答え、その解決方法としてサービスを説明する順番にすれば、読者は迷いません。料金を確かめに来た人が多い入口なら、料金の考え方を早めに見せます。会社紹介は商品に興味を持ち、運営元は信頼できるのか気になった時に見せる情報です。

ですから制作会社には、LPの要望と一緒に、入口になる広告や案内文も渡してください。まだ確定していなければ、何を訴求する予定かを伝えます。

価値:特徴を、その人の仕事で何が変わるかに言い換える

商品の特徴と、読む人にとっての価値は別のものです。研修サービスを例にすると、次のように言い換えていきます(説明用の例です)。

段階書く内容
特徴演習中心の研修
価値職場で使う面談の進め方を、研修中にその場で練習できる
裏付け研修の時間のうち、どれだけを演習に使い、何を練習するか

「演習中心」だけでは、読者は受ける理由を自分で考えなければなりません。「面談の進め方を練習できる」まで書けば、自社の管理職に必要かどうかを判断できます。言い換えたら、3段目の裏付けが実際の研修の中身で説明できるかを確かめます。実際以上のことを書くと、受講した人が「思っていたのと違う」と感じることになります。

誰にでも役立つように書くと、価値はぼやけます。どんな課題や体制の企業に向くのか、受ける前に何を準備するのか、対応できない範囲はどこかが分かれば、読者は「自分に合うか」を決められます。ただ、条件ばかり並べると、まだ準備のできていない人が相談をためらいます。準備が整っていない段階から一緒に考えられるなら、そのことも価値の一部として書きます。

根拠:実績が少なくても、提供する中身で示せる

価値を読んだ人が次に考えるのは、「本当にそうなるのか」です。ここで、実績が少ないからといって、架空の成果やお客さまの声で補ってはいけません。代わりに使えるのが、提供する中身の具体性です。実施する内容、担当する範囲、使う資料、受け取れる成果物、途中で確かめる進め方を示せば、読者はその中身から、自社の状況でも同じことができるかを判断します。

根拠は、支える価値のすぐ近くに置きます。「面談の進め方を練習できる」と書いたなら、その下に演習の流れを見せる、という具合です。ページの最後にまとめて並べると、読者はどの話の根拠なのかを結び付けられません。

既存の実績から数字を使うなら、対象、期間、比べた条件、自社が関わった範囲を確かめてから渡します。特定の条件で得られた結果を、誰でも得られる効果のように見せると、根拠のつもりが不信の種になります。数字の説明が込み入るなら、大きく見せるより、何を変えたのかを具体的に書くほうが伝わります。

行動:ボタンを押したあとに起きることまで決める

相談、資料請求、申し込み、購入のどれを求めるかで、読む人が決断する重さはまったく違います。広告で初めてサービスを知った人に、いきなり申し込みを求めるのは負担が大きすぎるので、資料請求や相談を主な行動にします。どの操作を、どこまで検討が進んだ人にしてもらうかを、依頼の時点で決めておきます。

複数の行動を置くなら、主な案内と補助の案内を分けます。同じ強さのボタンが並ぶと、読者はどれを押せばよいか迷います。ボタンの文言も、押したあとに起きることと一致させます。相談フォームへ進むのに「資料を見る」と書けば、押した人の期待はそこで外れます。

費用を一律に出せないなら、決まり方を書く

ボタンの手前で読む人の手が止まるのは、費用、準備、対象の条件、相談後の流れが分からないときです。個別見積もりのサービスなら、何によって費用が変わるのか、見積もりのために何を伺うのかを書きます。「お問い合わせください」だけでは、相談する価値があるかを判断できません。

期間も同じです。標準の日数を確かめていないなら数字を作らず、工程と、期間が延びる条件を書きます。料金や対応範囲のように、申し込む前に必ず知りたい情報は、末尾のよくある質問に押し込まず、本文の流れの中に置きます。

受付の担当と返信の流れも、依頼に含める

行動の情報には、ボタンの先も含まれます。問い合わせを誰が受け、どう振り分け、いつ頃どの方法で返信するのか。資料請求なら、資料がどう届くのか。ここが決まっていないと、LPで相談を集めても、その先で対応が止まります。

4つの情報に「確定・仮説・不足」を付けて、1枚で渡す

ここまでの情報を、制作会社に渡す1枚にまとめます。研修サービスの例で書くと、次のようになります(説明用の例です)。

情報書く内容記入例区分
顧客困っている場面、すでに試したこと、入口の広告や案内文新任管理職の部下面談に悩む企業の人事担当。講義だけの研修を受けたが、現場で使われなかった仮説
価値その人の仕事で何が変わるか面談の進め方を研修中に練習できる確定
根拠提供の中身、使える実績、数字の条件演習の流れと使う資料は確定。受講企業の声は掲載許可を確認中一部不足
行動主な行動、費用の決まり方、ボタンの先の受付相談フォーム。送信後の返信担当が未定不足

区分を付けておくと、構成を考えるための仮の情報と、公開に使ってよい確定した情報が分かれ、仮の説明がそのまま公開される事故も防げます。不足している欄には、誰がいつまでに確かめるかを書き添えます。実績の掲載許可、写真の利用条件、担当者による原稿の確認は、デザインが仕上がってからではなく、使う情報が決まった時点で動き始めます。

4つの欄に分かれた依頼シートに確定・仮説・不足を示す3色の付箋が貼られ、参考サイトの印刷が脇に添えられている机の様子。

参考デザインを添えるなら、どこを採り入れたいのかも書きます。色や雰囲気ではなく、比較表の見せ方、提供範囲の説明の仕方、申し込みまでの順序など、自社の情報にも当てはめられる点です。写真が用意できない、料金体系が違う、検討期間が長いといった条件があれば、見た目を真似ても同じ効果は出ません。参考デザインはあくまで、4つの情報をどう見せるかを伝えるための補足として渡します。

公開後は、4つの疑問のどこで止まっているかで見直す

公開後は、入口になった広告や案内、LPを変更した日、届いた問い合わせの内容を記録しておきます。同じ時期に広告の出し方や営業活動が変われば、反応の変化をLPだけの結果とは言えなくなるからです。

反応が思わしくないときは、読む人がどの疑問で止まっているかを考えます。冒頭で離れているなら、入口と冒頭の話が合っていない「顧客」の問題かもしれません。読まれているのに問い合わせがないなら、「価値」や「根拠」が足りないか、費用や条件が分からず「行動」の手前で迷っている可能性があります。フォームまで来て送信されていないなら、入力の負担を見直します。どこを直すかを決めるとき、立ち返るのは制作前に渡した4つの情報です。

まとめ|見た目の前に、4つの疑問に答える材料を渡す

LPを読む人は、自分のための話か、何が変わるのか、信じてよいのか、次に何をすればよいのかを順に確かめています。この疑問に答える顧客・価値・根拠・行動の材料は、依頼主の手元にあります。入口の広告はLPの冒頭を決める顧客の情報として、ボタンの先の受付は行動の情報として、一緒に渡します。

制作会社に連絡する前に、4つの情報を1枚に書き出してみてください。埋まらない欄は「仮説」「不足」と書いたまま渡せば、何を先に確かめるかを制作会社と一緒に決められます。

商品・サービスの情報を、LPの構成へ

伝えたい価値や顧客の疑問を伺い、LPに必要な情報と伝える順番を一緒に整理します。

中村 和正

この記事を書いた人

中村 和正

株式会社gracenote 代表取締役 / 一般社団法人日本Web協会 会長

Web制作・ディレクション・マーケティングの実務を経て、2018年に株式会社gracenoteを設立。Webサイトの設計・改善支援と、Webディレクターの人材育成に携わっています。著書に『「買わせる」の心理学』。

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